採用時におけるオンラインのコミュニケーションで大切なこと

採用活動のオンライン化を推進している企業は増えていますが、オンラインでのコミュニケーションや採用活動に難しさを感じている採用担当者も多いことでしょう。採用活動のオンライン化が進むなかで、面接の場以外の候補者へのコミュニケーションの方法や自社の魅力の伝え方などが課題になります。

そこで、今回は、採用活動のオンライン化の現状と施策について、いち早くオンラインでの採用活動に切り替えられた株式会社グッド・クルー様にお話を伺いました。採用活動のオンライン化に取り組まれている採用担当者の方に向けて、実際の取り組み事例と採用活動のオンライン化に対応していくためのポイントについてご紹介します。

株式会社グッド・クルーについて

株式会社グッド・クルーは、現代社会のさまざまな課題を人事(ひとごと)で解決するため、「感情移入能力®︎」という独自ノウハウを生かして、「働くヒト」と「企業」双方のニーズを解決する人財支援サービス企業です。「通信業界特化型の人財支援」を目的として設立されたということもあり、時代の変遷と共にインフラ化してきた通信業界において、toBの側面でさまざまな企業の人材に関する課題を解決し、toCの側面で求職者に満足と感動を届けています。

「働くヒト」に対しては「自社で採用」、「企業」に対しては「派遣」と「請負」という選択肢で貢献してきました。しかし、それぞれのニーズが拡大してきたため、「働くヒト」に対しては「就職支援サービス」と「キャリア形成支援プログラム」、「企業」に対しては「採用・研修コンサルティング」と「人材支援サービス」を提供。通信業界だけでなく、さまざまな企業に対しても貢献できるよう、提供するサービスの幅を広げています。「感情移入」を追求し、モノを扱うプロではなく「ヒトの心を扱うプロ」の育成・輩出を目指しています。2020年5月時点は、採用は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、社員や候補者がオフィスに行けない状況のため、選考を全てオンラインで実施しています。

野村尚史氏

株式会社グッド・クルー
企業価値創造部

東京理科大学大学院修了後、総合建設会社で建設構造設計職を経て、2016年3月に株式会社ディ・ポップスに入社。toC営業・採用担当者を経験後、株式会社グッド・クルーに転籍。転職後、採用・育成・組織づくりに携わりながら、現在は「企業価値創造部」で「この組織で働くことの意味と価値の最大化」と「この組織が存在することの意味と価値の最大化」を使命として働いている。

オンラインの面接で心がけている3つのポイント

オンラインによる採用活動を導入している企業も増えていますが、候補者が自社に合うか・どうかの判断が難しい、面接官の人柄や会社の雰囲気が候補者に伝わりにくいなどの課題もあります。オンラインでの採用活動を行う際に、採用担当者が心がける3つのポイントについてご紹介します。

①オンライン面接でも対面の面接でも自社に合うかどうかの判断基準は変わらない

まず、1つ目に心がけていることは、「オンライン面接であっても対面の面接であっても候補者が自社に合うかどうか」の判断基準は変わらないということです。オンライン面接だからといって特別な判断基準を設けるということはありません。弊社の選考は相手が発した何気ない言葉から本人も気づいていないWillを深掘りしていくというものです。対面かオンラインかによって、その面接の仕方が変わることはありません。どちらかといえば、オンラインでのやり取りの方が対面に比べて候補者の深掘りはしやすくなりました。オンラインの面接の際は候補者の方の自宅など「ホーム」で受けていただくこともあり、緊張が緩和され、リラックスした状態で本音の対話をしてもらえるようになったと感じています。

②面接官がオンラインでのコミュニケーションに慣れること

2つ目は、面接官もオンラインでのコミュニケーションに慣れるということ。オンライン面接をはじめた当初は、候補者の方がオンライン面接に慣れており、面接官の緊張が候補者に伝わってしまうこともありました。まずは、採用活動以外の朝礼や会議も積極的にオンライン化していき、面接官にオンラインに慣れてもらうことに努めました。この取り組みにより、面接官がオンラインの面接に慣れるだけでなく、少なくなっていた社内のコミュニケーションも活発化しました。

③面接時以外のコミュニケーションの積み重ねを大事にする

3つ目は、面接の時間以外の、候補者との接点を大切にすることです。自社の魅力を伝えるために一番重要なのは、面接の時間だけですべてを知ってもらおうとはせず、面接以外のやりとりも含めて自社を理解していただけるよう努めることです。例えば、オンラインでの面接では、対面の面接のように会議室へご案内するまでの移動時間のちょっとしたコミュニケーションの機会は通常はありません。そこで、オンライン面接の前後にチャットでやりとりをするなどコミュニケーションの量を増やして、心理的安全性を担保することを心がけています。また、弊社の魅力は「人」であり、候補者の方にそれを感じていただけるように、私と他の社員を交えて「Facebook」や「messenger」で積極的に他の社員とつなぐようにしています。

オンライン選考の社内浸透(巻き込み)について

採用活動のオンライン化には社内の協力が不可欠です。面接を依頼する社員を選定するタイミングで、明確な理由を持って面接官をアサインしています。そして、一番重要なのは依頼した面接官に対して面接官をお願いした理由を必ず伝えることです。本人が面接官に選ばれた理由に納得し「その理由なら、ぜひ自分がやります」という状態になるまで、説明を徹底します。面接官自身が面接の場で「この会社で生き生きと働いている様子」がにじみ出るようにするためには、「なぜあなたなのか」という理由づけが必要なのです。また、現場の社員には「面談」をお願いする場合が多いのですが、その際に「自社の良いところだけを言ってほしい」とは言いません。「自分がこの会社で働くなかで、日々感じていることをそのまま候補者に伝えてほしい」とお願いしています。弊社の一番の魅力は「人」なので、本人が感じていることを本人の言葉で伝えるのが大切です。

オンライン選考で入社した社員への入社後のフォローについて

昨今の状況下では、オンラインで採用した社員のオンボーディングもオンラインで行うというケースも増えているのではないでしょうか。オンラインでのオンボーディングを行う際は「オンラインでいかに気軽なコミュニケーションを担保できるか」が重要になります。これまでは入社した後は対面で会えることがある意味安心材料になっており、入社者とのオンラインのやりとりは形骸化していました。しかし、オンラインでの採用後、オンラインでオンボーディングを行ううえでは、今まで以上に対面で会う時以外のコミュニケーションを大切にしなければなりません。

まとめ:採用をオンライン化する際に忘れてはいけないこと

採用活動のオンライン化に対応していくためには、テクニック以上に「いかに相手を思ってコミュニケーションができるか」が重要なポイントになります。今後は、オンラインとオフラインのコミュニケーションが混在していく中で、これまで以上に候補者とのオンラインでの接点が増えていくと思います。ビデオ通話や音声だけの通話、テキストでのやりとりなどオンライン上で候補者と接点を持つ手段は色々とありますが、中でもテキストでのやりとりは相手の声や表情がわかりにくいため、相手の感情を判断しにくいケースが多くなります。ミスコミュニケーションを生む一つの原因でもあるため、オンラインでもオフラインでも候補者の方に与える印象が同じになることを心がける必要があると思っています。

採用活用のあり方が刻々と変化している今の時代では、「候補者の方が何を感じ、何を考えているのか」ということに本気で向き合うことが求められるでしょう。だからこそ、採用に関わる人は「感情移入」を大切にして、「ひとの心を扱うプロ」を担っていかなければならないと考えています。