採用から定着・活躍までを支援するDXとは

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めまぐるしく進化するデジタル社会において人材の獲得競争は激化。「欲しい人材」を採用するため、 あるいは、社内における人材の発掘や教育を進めるために今、人事の領域においてもDXが求められてい ます。2021年5月26日に開催したHR SUCCESS SUMMIT 2021は「DX時代の採用力」をテーマ とし、採用・人事領域における成功事例を知る機会を提供。今回のセッションでは、現在、人事DXに 取り組んでいる3社の担当者にご登壇いただき、「採用から定着・活躍までを支援するDX」について、 各社の取り組みや、今後の展望を伺いました。

登壇者プロフィール

島田 由香氏

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社
取締役 人事総務本部長

慶応義塾大学卒業後、日系人材ベンチャーに入社。
コロンビア大学大学院組織心理学修士号取得。
その後、米系大手複合企業入社を経て、現職。
米国NLP協会マスタープラクティショナー、マインドフルネスNLP®トレーナー。
R&D、マーケティング、営業部門のHRパートナー、リーダーシップ開発マネジャー、HRダイレクターを経て現在に至る。

渡辺 大介 氏

富士通株式会社
Employee Success本部 Engagement&Growth統括部
人材採用センター長

1991年4月富士通株式会社入社。社員に対する研修を企画・実施する教育訓練部(現 人材開発部)に配属となり、新人研修、リーダー向け研修を担当。以降30年に渡り、富士通グループでの人事業務を担当。本社での人事制度企画、プロダクト(開発)部門・サービス(SE)部門のBusiness Partner人事、グループ会社での人事責任者などを経験。2019年6月より現職。ビジネス戦略実現のための人材の獲得、最適な配置の実施に責任を持つ。

中林 紀彦 氏

ヤマト運輸株式会社
執行役員 デジタルデータ戦略担当

2002年、日本アイ・ビー・エム入社。データサイエンティストとして数々の企業のデータ活用を支援。その後、オプトホールディング データサイエンスラボの副所長、SOMPOホールディングス チーフ・データサイエンティストを経て、ヤマト運輸株式会社の執行役員に就任。また、筑波大学大学院の客員准教授としてビッグデータ分析の教鞭も取る。

河合 聡一郎 氏

株式会社ReBoost
代表取締役社長

印刷機メーカー、リクルートグループを経て、株式会社ビズリーチの立ち上げ期を経験。その後、セールスフォース・ドットコム等を経て、ラクスル株式会社の創業メンバーとして参画。採用を中心とした会社創りに従事。
2017年、株式会社ReBoostを創業。スタートアップや上場企業、地方ベンチャーに、人事組織や採用戦略の支援を行う。20社以上へのエンジェル出資及び、VCとの事業提携を通じて、組織人事領域を支援。

1.各社のDXへの取り組み

ーまずは、現在、各社様が取り組み始められたDXの内容と、そのご状況について教えてください。

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社

まず、デジタイゼーション(デジタル化)とデジタライゼーション(DX化)は異なるという観点から言いますと、DXとはデジタライズされた後の状況や、デジタイゼーションを行っているということ自体を表すものだと考えています。その点では、弊社はまだデジタイゼーションの段階ではないかと思っています。今後、もっとデジタイゼーションを行い、デジタライゼーションまで到達したいところですが、現在グローバルを含めたユニリーバ全体としてフォーカスしているのは、「eコマース」と「EX(Employee Experience・従業員体験)」です。

今回は、人事・総務という観点から特にEXにフォーカスしてお話したいと思います。前提として大事なのは、人間は感情の生き物であり、「どう感じているか」ということに左右されながら物事を決めていく側面があるということです。なぜ、EXを重要視するかと言いますと、生産性の向上や会社のブランド構築のためだけでなく採用力にもつながるからです。また、EXが充実している会社は売り上げが2倍近く上がったり、利益率も1.2倍になったりといったリサーチ結果も出ていますので、ユニリーバでもしっかりと取り組んでいこうという流れになっています。

私たちがこの取り組みにおいて特に大切にしているのが、「業務の視点」「感情の視点」「働き方の視点」の3つの視点です。効率化の観点からみると「業務の視点」はもちろんなのですが、それだけではなく、その取り組みに対して社員はどんな感情を抱く可能性があるのかという「感情の視点」。そして、働き方にどのような影響を及ぼすのか、という「働き方の視点」。この3つを通して、EXに大きく貢献していけるよう、取り組んでいます。

富士通株式会社

顧客や、社会のDXを支える会社になりたい。そういった思いを胸に、そのためにも、まずは富士通自身がIT企業からDX企業に進化しなければ、ということで、今、デジタルとトランスフォーメーションでいうと、トランスフォーメーションの方を大事にしてさまざまな活動をしております。何をトランスフォームするのかといいますと、ITのシステムという側面もありますが、大切なのは業務プロセスを変えることや、働き方、意識や風土、文化を変えることだと考えています。この取り組みには、トップである社長自らがCDXO(最高デジタル変革責任者)を名乗ってコミットメントし、社内改革を全面的に行うべく「フジトラ」という全社DXプロジェクトを推進しています。また、各部門には合計17名のDXOを置き、メンバーは部門ごとのDXを進めている状況です。

ヤマト運輸株式会社

私は2年ほど前にヤマト運輸に入り、データ・デジタル戦略の実行責任者として、2020年1月に発表した経営構造改革プラン「YAMATO NEXT 100」の基本戦略の一つとして掲げたデジタルトランスフォーメーションの戦略策定に携わりました。この取り組みには、大きく分けて3つの基本戦略があります。「お客さま、社会のニーズに正面から向き合う経営への転換」「データに基づいた経営への転換」、そして「共創により、物流のエコシステムを創出する経営への転換」です。また、これを実現するため、さらに3つの事業構造改革と、3つの基盤構造改革を行っています。その中でも、データ・ドリブン経営というのが、私の責任範囲となります。例えば、コロナ禍でECサイトの利用が増え、弊社ではその荷物を運ぶ量が増加しています。そこで、ニューノーマル時代の新しい受け取り方として、自宅での対面や非対面の受け取りだけでなく、商業施設やドラッグストア、ホームセンターなどの店頭で受け取れるなど、さまざまな受け取り方を選べるようにすることで、ECサイトをご利用いただくお客さまのより良い受け取り体験を提供しています。

また、グループの経営体制を刷新し、主要事業会社7社をヤマト運輸に統合し、4月1日から新しい「ヤマト運輸」に生まれ変わりました。その中で、「データ・ドリブン経営への転換」を推進するために、3年間で1000億円を投じて300人規模のデジタル組織体制を構築することを目指しています。現在、以下の5つの戦略を中心にDXを進めており、営業収益1兆6800億円から2兆円への増収、営業利益率6%、営業利益1200億円、ROE10%というゴールに向け取り組んでいます。

2.人事業務におけるDXの活用

ー人事業務におけるDXの活用状況や、推進にあたり組織の課題点がありましたら教えてください。

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社

正直に言うと、実はまだDXが 十分に進んでおらず、強化していきたいと思っている段階です。一般的に、現在は人の手でやっているような部分、例えばエクセルなどを使用している仕事は今後人の手を離れるでしょう。また、蓄積されたデータによって総合的な分析ができるようになれば、EXを最適化できる可能性を秘めています。例えば採用活動において、弊社の採用ではヘアケア、スキンケアなど複数のカテゴリーがあり、また各カテゴリーの中でもブランドごとのチームに分かれているのですが、「候補者はどの部門のどのポジションが最適なのか」という話になります。「あのチームよりも、あちらのチームがいいかもしれない」というやりとりを毎回しているのですが、とても時間がかかります。そこで、CV(職務経歴書)がデータ化され、さらにこのようなやりとりまでデジタライズされ、DXが進むことで業務の構造が変われば、効率化されるだけでなく、デジタルと協業することで採用活動全体を変えることができるのではないかと考えています。

富士通株式会社

富士通でも、従業員エクスペリエンスを大切にしようという動きになっています。さまざまな人事業務がありますが、富士通としてはすべてを変えなければいけないだろうということで、フルモデルチェンジをしようと動いています。例えば、評価システムだけを変えても会社の文化は変わりません。組織体制だけを変えても、風土は変わりません。現在、働き方改革を行っていますが、人事・総務が考えた制度をみんなでやりましょう、というのではなく、どういう形にするのが良いかということについて、「VOICE」というシステムを導入し、従業員一人ひとりの声を集めています。例えば「コロナ禍でテレワークが中心となったが、今後もテレワークを続けたいか」という問いに対しては、テレワークを続けたいという声がすごく多かったのですが、そのなかで、現在困っていることとして、上司のマネジメントが薄くなったなどの意見があり、そこに対して何ができるかを考える。人事が一方的に「こういうことをやろう」というのではなく、従業員が「こういうことが大変で、困っている」ということをしっかりと伝えたうえで、何をやるかを決める形へ、人事の考え方を変化させています。その結果として、従業員一人ひとりが強みを生かし、さまざまなことに挑戦し、成長しつづける会社にしていきたいと考えています。

ヤマト運輸株式会社

デジタル人材の採用を主導している立場でお話をすると、コロナ禍においては、かなりリモートでの採用活動が進みました。一部はフェイストゥーフェイスで面接することもありますが、ほとんどの場合リモート面接を行うようになり、履歴書などはシステムで共有しながら確認したり、チャット機能を使用して面接官と人事担当者がリアルタイムにコミュニケーションを取りながら面接することもあります。働き方もリモートワークが中心になり、ワークスタイルのデジタル化も組織として取り組んでいます。

また、今後のことを考えると、タレントマネジメントがとても重要だと思っています。弊社はグループ全体で20万人以上の社員がいるので、外部からの採用も必要ですが、やはりドメインナレッジをもった社員を、どうデジタルトランスフォーメーションしていくのかが重要です。経営トップともよくディスカッションをしますが、社内でデジタル人材を発掘する手法として、今後はタレントマネジメントシステムなどを導入、活用していきたいと考えています。必要な条件で社員を検索し、デジタル人材として素養のある社員を発掘するということを、中長期的にはやりたいですね。

3.DXを推進する人材の獲得

ーDXを推進するための人材の確保や抜擢、また、そういった人材の評価をどのような方針で行っているかを教えてください。

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社

DXだからといって特別なことがあるわけではなく、どんな業務であっても結果を出したり、世の中にポジティブなインパクトをもたらしてくれたりする人材、つまり、ユニリーバの成長をさらに加速させてくれるような人材ということは共通していると思います。好奇心にあふれていて、失敗した際には「どうしてそうなったのか」を追求するだけでなく、「二度と起こさないために、どう改善したらいいか」を考えられるような、そんな前向きさを持った人が必要です。

ただ、スキルや経験という点では、Gen Z(ジェネレーションZ)などのデジタルネイティブな世代が今後入社してくることを想定したときに、デジタルに対する理解や能力が社内にないと社員間でギャップが生じてしまいますよね。だから今、そうしたことが起きないよう、eコマースに関する知識やスキルは部署を問わずアップグレードしようということで、すべての社員がトレーニングを受けたり、関連するアクティビティを行ったりしています。

DX人材の獲得については、現在どの会社も欲しい人材なので、なかなか難しい。ただ、会社のパーパス(目的)、つまり何のためにユニリーバという会社が存在しているのかということを軸に、会社としての魅力を伝えていき、そこで自分の持っている知識やスキルを使いたいと思う人をアトラクトしていくというのは、変わらないと思います。現状では、ありがたいことに弊社についてよく調べて、私たちが大切にしている「サステナビリティを“あたりまえ”にするために存在している会社」というところに候補者は魅かれて応募してくれています。そのため、こちらから会社を売り込むことはあまりせず、興味を持って聞いてくれた質問に対して素直に正直に答えるということを心がけています。

評価に関しては、2つの大きな軸が長らく変わらずあります。いわゆる外資系企業は同じだと思いますが、結果のアウトプットやアウトカムがどうであったかという「What」と、それを出すためどのようなリーダーシップを発揮したかという「How」の2軸です。Whatの部分は予定や期待よりも良かったか、Howの部分ではリーダーシップや態度はロールモデルと呼べるほどだったかなど、2つの基軸に対してスコアをつけます。ユニリーバではPS(パフォーマンスシグナル)という言い方をしていますが、0~150までの数値があり、100というのは期待通り。ある程度、ストレッチしたゴールを設けているため、100がつくということはなかなか良い評価です。不足していれば、90や70となったり、飛びぬけて良ければ130や140になったりする。この制度になったのが3年前ですが、それまでは5段階評価でしたので、WhatとHowを総合的にみて数値をつけていました。今後、こうしたものをDXする場合は、まずは「評価」という言葉自体が持っているネガティブな印象を変えたい。これは自分なりに心がけていることで、マネジャーたちにも伝えていることですが、評価自体は必要なものです。しかし、1年を振り返って、この会社として投資するに値する人材であったかどうかという厳しい見方だけでなく、どのような点が素晴らしくて、ここをもう少し一緒に伸ばしていこう、と相手の良いところを引き出すことも評価です。これを続けていけたら、EXは良くなると思います。この評価フィードバックの部分に関しては、最後までDXできないと思っていて、やはり人間がハートと感謝を込めてやるべきことだと考えています。

富士通株式会社

冒頭で、社内改革を全面的に行う「フジトラ」を17名のDXOで率いている、という話をしましたが、各部門にいるこの17名は、経営陣が「こんな風に富士通は変わろうとしている」という話をし、それに共感をして、自分が変えるという強い意志を持って手をあげた人から選出しました。DXを進めていくうえでの課題は部門によって異なりますので、各組織で解決できるものに関しては「縦解き」という形で、組織内で答えを出してもらいます。しかし、全社的、あるいは部門全体で考えなければいけないものに関しては、「横解き」という形でDXOが横に連携していく仕組みにしています。17名のDXOがステアリングコミッティを開き、それを社長やDX補佐がリードしながら、この「縦解き」と「横解き」を進めています。

人材獲得に関しては、DXを進めるにあたって、新しいことにどんどんチャレンジしていくことを大事にしていますので、お互いを信頼し合うことや共感することが大事だと考えています。「とにかくやってみよう」という感覚をもってもらい、自分がやりたいと思う仕事にチャレンジし、ワクワクして働いてもらえるような人に来てほしいですね。今、富士通では「良い人がいるから、この仕事をしてもらおう」という考え方ではなく、「世の中にインパクトを与える仕事をしたいから、その仕事をできる人を探しに行く」という採用スタンスになっています。まずは、富士通の今をみてもらい「こんなポジションがあるので一緒にチャレンジしませんか?」という形で社外から採用をしています。また、社内においてもどんなポジションが空いているかをオープンにし、自由に手を挙げられるポスティング制度を導入することで、従業員一人ひとりのチャレンジを促しています。

評価については、経営幹部層やマネジメント層のマネジメントアンケートを行っています。360度評価に近いと思いますが、メンバーからみて「この人のマネジメントはこうです」という意見を聞きます。このマネジメントアンケートの結果を縦軸とし、出した成果を横軸として4現象に分けた時、右上に位置する人は双方の評価が高いことになります。こうした人の行動特性などを、アンケートなどから統計解析して導き出し、マネジメント層に対して「右上を目指すためには、こういう行動をとるといいですよ」というアドバイスができるような仕組みをつくっている最中です。フィードバックで自分自身を省みて、自分ではメンバーとコミュニケーションを取れていたつもりが、メンバーが聞きたいのは仕事の話だけではなく、これからどんな未来を描いていきたいのかという上司の思いを聞きたい場合には、「もっとビジョンを語った方がいいですよ」というような具体的なアドバイスが自動的に出てくるようなシステムもつくり、マネジメント層に渡しています。単なる業績評価とは別の軸で、マネジメント力、コミュニケーション力や組織力を上げていきたいと思っています。

ヤマト運輸株式会社

4月から始まった新体制のもと、3年間での売上目標などを実現するための戦略を策定し、その実現に必要な組織やデジタル人材がクリアになってきたところです。短期的には、まだまだ社内でデジタル人材が育っていないので社外からの採用も必要な状態です。そのような状況のなか、私が2年前にジョインした時にまず始めたのが、デジタル領域を担う組織をつくるために人事制度を変えるということです。メンバーシップ型も残しつつ、外資系企業ほど振り切ったものではなく、緩やかなジョブ型に変えていきました。

また、データサイエンスができる人材やシステム構築や内製化するためのエンジニアリング人材、昨今のクラウドベースに合わせてアーキテクチャデザインができる人材など、それぞれ必要スキルを定義づけしたスペシャリスト制度に基づく人事制度も整備しました。ほかにも、採用ブランディング観点で情報発信を行い、魅力を伝える重要性を考え、採用オウンドメディアを立ち上げました。そこで、自分たちのDXに関する取り組みの紹介やジョブディスクリプションを公開しながら、広く人材を募集しています。

こうした取り組みを推進していくなかで、気をつけていることがあります。それは、私も含めて外部から来たメンバーはさまざまな課題に気がつき、変えたくなるものです。その課題をいかに既存のメンバーと軋轢を生まないように改善していくか。それは、私を含め経営陣同士でコミュニケーションを取り、少しずつ融和させながら、バランスよく実行していきたいと思っています。

4.これからの取り組みと展望

ー最後に、今後人事業務のどういった部分にフォーカスされ、どのような変革を目指されていくかの展望をお聞かせください。

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社

今後、デジタライゼーションが本当に進めば、人事部はなくなるだろうと思っています。しかし、人事部という言い方はしなくなるかもしれませんが、ハートを持って社員と向き合い、より大きな結果につなげていく場を創るといった、People leadの機能は残るでしょう。すべての部署を横断して全社をみて、なんとなく会社のムードを感じる感覚・感受性というのは、デジタイズもデジタライズもできない。その棲み分けができるようになれば良いと思います。人事部で行われているルーティン業務や、タレントマネジメントはDXの可能性を秘めているので、まずはそういうところからスタートしたいと考えています。

働き方という観点では、昨年夏から「WAAP(ワープ):Work from Anywhere & Anytime for Parallel careers)」という、ユニリーバ・ジャパンの中の仕事を外部の方に副業として担ってもらえる仕組みを日本発信でつくりました。これには、グローバルからもヒアリングがたくさん来ています。現在、ユニリーバではグローバルで「未来の働き方」に変えていこうということで、さまざまな国で実証実験を行っています。今後は海外でパイロット化したものを日本でも導入できるか、日本の法制度と照らし合わせながら、もっとフレキシブルにしていきたい。ある方の言葉でとても心に残っているのが、「今後、企業と個人の関係性は、『雇用』ではなく、より個が必要とされる『個要』になる」という話で、本当にそうだなと思いました。こういったことが進めば、よりワクワクする世界になるのではないでしょうか。

富士通株式会社

私たちは、会社のなかで、従業員一人ひとりがどのようなキャリアをつくっていくのかというところにフォーカスしたいと思っています。例えば、上司にキャリアの相談ができず、他の人にアドバイスをもらいたいときがあったとします。そうした時に、全従業員の今までのキャリアをデータに登録しておくことで、自身が思い描くキャリアに近い人物を探すことができ、その人に話を聞けるようになる。そんなシステムをつくりたいと思っています。キャリアメンターといいますか、直接の利害関係があるのでなく、斜めの関係で相談ができるような。一人ひとりの強みを生かしたり、ポスティング制度を使ってチャレンジしたりすることを促進し、自身のキャリアをどうしていくかを考えるためにテクノロジーを使っていきたいですね。「富士通のような大きな会社が本当にそういったことを実現できるの?」と思われるかもしれませんが、富士通くらい古くて固いイメージのある会社にできれば、日本のさまざまな会社でもできるということ。数年後「今の日本の働き方の型を作ったのは富士通だった」と言ってもらえるよう、人事としてDXに取り組んでいきたいと思っています。

ヤマト運輸株式会社

自分たちがいるデジタル専門の組織や人材がいる組織だけでなく、全社をあげてDXに取り組める人材教育のあり方が重要だと思っています。そこで、経営陣も含めてレベルアップしていくために「Yamato Digital Academy(ヤマトデジタルアカデミー)」というプログラムを立ち上げました。このプログラムでは、社長も含めた経営陣もハンズオンでデジタルを体験してもらいます。今後、さまざまなデジタルツールを展開していく予定ですので、そのツールを使いこなせるようにBIツールや機械学習の講座を用意し、全社的にデジタルレベルを底上げし、DXを推進していける状態をつくりたいと考えています。

そのためには、経営陣もDXを自分ごとと捉えて本気でコミットメントしてもらうことが大切です。まずは、経営陣と各ビジネスサイドのリーダー育成から始めています。また、早い段階からITやDXに強い人材を発掘し、積極的な登用も進めています。こうした取り組みを通して、より良い顧客体験につなげていきたいと思っています。

※各種データや肩書きはイベント実施時点のものです

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